- 2022/05/17
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【パート1】入学試験なし⁈ 単位制⁈ カナダの大学の仕組み、丸裸にしちゃいます!
皆さま、こんにちは!
カナダは古くから多様な移民を受け入れることで成長してきた国。文化や民族、宗教といったバックグランドの異なる人々が、そのままのアイデンティティーを持ったままお互いを尊重し共存している国、それがカナダです。そんなカナダは留学生の受け入れも積極的で、留学生の学びをサポートする制度が充実しています。人種差別が少ない、馴染みやすい、豊富なサポートがある…。こういった理由から、進学先にカナダを選ぶ方も多いと思います。私はまさにそうで、高校卒業までの18年間を地方で過ごした少女にとって、カナダは留学先として一番現実的に考えられる国でした。
ですが、ここで問題が…。情報収集がとても難しかったのです!大学の情報は公式HPなどもありますしそれなりに見つかったのですが、カナダの教育システムそのものについて説明が得られるようなものはなかなか見つからず…。結局、大学の仕組みことはよく分からないまま留学し、在学中に行き当たりばったりで事実を知ることが何度もありました(泣)。自分がどういった教育システムの中で学ぶのかを理解していることは、在学中に進路を決める上でもとても大事です。それでは、今回はカナダの大学の仕組みについて、私が戸惑ったことや驚いたことを中心に皆さまに共有していきますよ〜!
1、入学試験がない
◯この章の大事なポイント◯
・高校での成績が超大事!
・IELTSとTOEFLで基準点を出すのはかなりハード。必死で勉強すべし!
・高校の偏差値はあまり関係ない。けれど、しっかり勉強できる学校を選ぶべし!
大学進学=大学受験が方程式の日本ですが、カナダではなんと入学試験はありません!これには正直一番戸惑いました。なぜなら、私は日本では普通の進学高校に在籍していて、高校で学ぶ意義は言ってしまえば大学受験のためだったからです。在学中は模試なども常に受けていましたし、進路決定も高2の夏にはしなければなりませんでした。私は海外の大学に進学したいというざっくりした希望は前から持っていましたが、夢はあくまで夢という感じで、それに備えて特別何かをしていた訳ではありませんでした。留学が現実味を帯びたのは進路選択のとき。志望大学を決める段階になって初めて、自分は留学したいんだ、カナダの大学で学びたいんだと意識しました。
そこからは希望する大学に入るためには何が必要かを調べ準備していくことになるのですが、これがとっても型破り!なぜならカナダの大学は入試がない代わりに、高校在学中の成績で合否が判断されるからです。当時の私は幸いにも成績は平均より上でしたが、統一模試のために詰め込み勉強をするのが当たり前の高校生にとって、それが意味をなさず、日々の授業態度や校内での定期テストこそが自分の進路に直結してしまうのは衝撃的でした。そこからは成績を上げるための努力をし、逆に自分に必要なくなった日本の大学入試のための勉強は全てやめました。
次に英語の勉強。カナダの大学に入学するためには英語力があることが必須条件です。そのための証明として、IELTSやTOEFLといった英語テストで大学が定めている点数を取る必要があります。大学によっては願書提出時に規定値の証明が出せなくても、規定値に達するまでは大学内の語学クラスで学ぶ条件で入学許可を出してくれるところもあります。IELTSやTOEFLで求められる英語力は日本の義務教育で学ぶ英語では残念ながら身につかないので、プラスαの努力が必要です。私はそのための専門校にも通いましたし、参考書で自習をしたり、試験慣れするために何度も受験したりしました。
ここまでを読んで「あれ、カナダの大学進学って高校の偏差値は関係ないんじゃ…」と思われたそこの読者さま!はい、当たらずとも遠からずです。先ほど高校での成績で合否が判断されると言いました。例えばですが、日本で素晴らしく偏差値の高い高校に在籍しているけれども成績は平均以下、5段階評価で2がつく科目もあるAさんと、偏差値はそこそこの高校で成績は常に上位、ほぼ全ての科目で5を持つBさんの2名が同じ大学に願書を出した場合、Bさんは合格しAさんは不合格なこともあり得ます。日本の学力模試などではAさんの方が実力があり偏差値が高かったとしてもです。カナダの教育現場では、学生がそれまで何を学んできてそれをどれだけ身につけているかが重要視されます。そして、それを測るためのものが校内での成績です。IELTS・TOEFLの勉強をしやすい環境で且つ上位の成績をキープできる高校で学ぶことが、より有利に出願を進めるための鍵になりますので覚えておきましょう!
2、単位制・学期制とは
◯この章の大事なポイント◯
・120単位で学士号(=卒業)をゲット!
・学年のコンセプトはない!
・自分の取った単位は生涯有効!
・取る授業数は自分で調節!
カナダの大学では授業を履修することによって単位(=クレジット/ Credit)がもらえます。1授業(=クラス/ Class)でもらえる単位は通常3つ。それを合計120単位まで取ると学士号(=ディグリー/ Degree)を得られます。この学士号を得ることが日本でいうところの大学卒業です。では、単位はどのように取っていくのでしょうか?カナダの大学では1年を4ヶ月ごと3つの学期(=セメスター/ Semester)に区切っていて、この学期内に授業を複数履修することにより単位を積み重ねます。学生は1つの学期で最大5つの授業を履修できるので、多ければ1学期に15単位取ることができます【※①】。
カナダの大学では学年のコンセプトはありませんが、1年に30単位を取る計算で履修計画を立てれば4年で120単位を取り終えることができます。「カナダの大学は4年制だ」と一般的に言われるのはこれが理由です。ですが、どのくらいの期間を使い120単位を取るかは学生によって大きく変わりますし、実際のところ大学生活を4年で捉えている学生は少ないです。以下に私が在学中に出会った学生たちを例としてあげてみます。
学生プロフィール | 履修授業数 | 仕事 | 大学在籍期間 |
---|---|---|---|
留学生・私 20代 |
1学期4か5クラス | × | 約4年4ヶ月 |
留学生Aさん 20代 |
1学期平均3クラス | × | 約6年 |
カナダ人Bさん 20代 |
1学期3か4クラス | アルバイト | 約5年 |
カナダ人Cさん 50代 |
1学期2か3クラス 通える時だけ通うスタイル |
パートタイム | 約8年 |
カナダの大学生は、高校を卒業してそのまま進学する私のような学生がほとんどではありましたが、中には社会人として働きながら通学している人もいました。そういう学生は自由時間で通える授業だけ履修していくため、120単位を取るのは長期戦になります。また何年も継続して履修するのではなく、例えば「昨年は履修したけれど今年は履修せず、翌年からまた再開させる」ような臨機応変な計画を組む学生もいます。
上の表の学生ではありませんが、私のクラスメイトで在学中にビジネスチャンスを掴み、そちらに全力で取り組むために大学を辞める選択をした人がいました。私の認識では途中で辞める=中退でしたから「大学を終えないなんてあり得ない、せっかく頑張ってきたのに勿体ない」と当時は思ってしまいました。しかし、カナダの大学は単位制!彼がそれまでに取った単位は消滅することはなく、その記録は大学に残り続けます【※②】。彼はビジネスが一段落したら(それがいつかは分からないけれども)また大学に戻り、学士号を取るために残りの単位を履修する考えだと話してくれました。
また、同じ大学生でもアルバイトをしているか、いないのかでも勉強に充てられる時間が変わりますよね。留学生の場合は、英語での授業や課題をカナダ人と同じ質でこなしていくのは努力を要しますし時間もかかります。このように1度にかかる負担を減らす意味で、5クラスは取らず自分が抱えられる量をその時々で見極めて授業数を調節する学生が非常に多かったです。自身のライフスタイルに合わせて大学での勉強量を調節できるのは効率的で合理的ですし、各々のペースで120単位取得を目指せるのはとても良いと思いました。また、日本の大学の休学システムと違い、勉学に戻りたければいつでも戻れる、そしてそのタイミングは年に3回(下記章参照)もあるというのは本当に素敵だと感じます。これがカナダの大学の最大の特徴であり、単位制・学期制だからこその柔軟さであると思います!
※① 1学期5クラス以上履修可能な大学もありますが、一般的には最大5クラスです。
※② 大学によっては細かい規定や条件があるかもしれません。必ずご確認ください。
3、夏学期について
◯この章の大事なポイント◯
・学期は年に3回ある。そのどこからでも始められる!
・夏学期は開講していてしていないようなもの。休暇と捉えるべし!
カナダの大学は学期制。学期は 9月、1月、5月開始の4ヶ月単位で、学生は年に3回ある学期開始日のどこからでも始められますが、新入生が一番多く入学してくるのは9月です。これはカナダの教育システムの年度が9月始まりなことに由来します。
学期呼び方
9〜12月 秋学期(フォールセメスター/ Fall Semester)
1〜4月 冬学期(ウィンターセメスター/ Winter Semester)
5〜8月 夏学期(サマーセメスター/ Summer Semester)
私は高校卒業が3月でしたので、入学まで間が開かないように5月から始めましたが、カナダの新入生は当然9月から来るので最初は閑散とした校内にびっくりした記憶があります。これは入学してから知ったことですが、夏学期は補足的な意味合いが強く、秋学期と冬学期にそれぞれ開講している授業数が例えば500あるとすると、夏学期は30くらいと本当に少なくなります。よって、夏学期に受講したいと思っていたとしても、そもそも選べる授業があまりないのです。また、夏学期は教授も休暇を取るか自身の研究をするため、授業はほとんど担当しません。そのため、夏学期に開かれる授業を担当する教授は外部からの非常勤が多くなります。大学では「その教授の授業だからこそ受けたい」というように、授業内容ではなく教授を慕うがゆえに授業選びをすることも多々あるので、そういった意味で夏学期に開講される授業は学生にとってあまり魅力的に写りません。
学生が夏学期を取らないその他の理由として、秋と冬学期は内容が繋がるような構成の授業が多いのに対して夏学期はそういったものが全くないこともあげられます。例えば「マーケティング1」と「マーケティング2」という2つの授業があるとすると、1は秋学期に開講し2は冬学期に開講します。2を履修するためには1の履修を終えていることが必須条件なので、必然的に学生は9月に始めることになります。授業の履修方法などについての詳しい話は次回に続くコラムで説明しますが、このように夏学期はなにかと不便なため、夏学期=夏休みとする学生がほとんどなのです!4ヶ月間の夏休みってすごいですよね⁈ 私も初めはびっくりしましたが、その間は日本に帰りアルバイトをしたり、現地でボランティア活動をしたりして有効に過ごしました。
4、まとめ
今回のコラムでは、カナダの大学の基礎に当たる入学規定、単位制、学期制について説明しました。いかがでしたか?日本の大学とは違う点が多いことをお分かりいただけたかと思います。「カナダの大学ってなんだか自由度が高そうだな」と思っていただけたのであれば、今回のコラムの要点はバッチリです!さて、次回のコラムでは、大学で皆が必ず悩む授業選択についての決まり事や、専攻などについて説明していきたいと思います☆ カナダの大学についてますます詳しくなれちゃいますので、次号も楽しみに待っていてくださいね!
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このコラムの著者
らいちゅう
小学生でオーストラリア、高校生でカナダへ短期留学を経験。
18歳からはカナダの大学へ進学し、学生と社会人で6年滞在しました。
2019年に仏語を習得すべくフランス・アヌシーに留学。現在もフランスに住んでいます。
趣味はフィルム写真を撮ること、美術館巡り、旅行も好きです。(^▽^)/
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カナダ、アメリカ、フィジー、ニュージーランド、オーストラリア、フィリピン、台湾、タイ、イギリス、フランス、ベルギー、イタリア、クロアチア、チェコ、スロバキア、ウクライナ、ポーランド、スイス、ギリシャ、モナコ公国、オーストリア、オランダ、モンテネグロ、ボスニアヘルツェゴビナ
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