• 2017/11/21
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フランス語 中~上級者向け 楽しい語彙力の伸ばし方

久しぶりの更新になってしまいましたが、今回はロンドン人の目線から書いたものではなく、筆者の2.5言語の「0.5」である言葉、「フランス語」の自己流の勉強方法、それも、「語彙」をより豊かに(以下「語彙力・単語力」などと表現します)する方法について書いていきたいと思います。
参考までに、短期で通ったフランス語学校(※記事ラスト参照)では「B2」レベル、つまり中級の上と判断されました。
なので、フランス語を始めたばかりの方よりは、基盤が出来上がっていてよりスキルを磨きたい方向けの内容になってしまうかもしれませんが、何かの参考になれたら嬉しいです!

楽しい単語力の伸ばし方その1 フランス語の吹き替えで日本のアニメを観る!

楽しい単語力の伸ばし方その1 フランス語の吹き替えで日本のアニメを観る!

語彙力・単語力を伸ばす方法、という内容で書いておりますが、日本のアニメのフランス語版を視聴してみたのは、元はと言えば「聴解」能力を試して、鍛えてみたかったのが動機でした。よくその言葉のラジオや映画、音楽がいいと言われますが、でもフランスのものだと何が面白いのか知らないし、自分のレベルに丁度いいものも分からないし、どうしようかと考えていた時にふと思いついたのが、ある時偶然見つけていた「日本のアニメ・フランス語吹き替え」でした。そして、これなら何が来るのかわかってるから当たりはずれもあまりないだろうし、(イギリス歴が長いというのもあって)日本のポップカルチャーにも興味あるし、と決定しました。
意外(?)かもしれませんが、フランスではクール・ジャパンの文化がとても人気!思えば、これはフランス語を勉強する日本語話者には、教材としてそれなりのポテンシャルがあるのでは、と思えて来ました。

早速1話を観てみようと始めましたが、ただ観るだけでは練習にならない。ましては材料はすでにストーリーの流れも登場人物のこともよく知っているものなのだ。ろくに集中せず「流して」観てしまう可能性は十分ある。ということで、やろう、と決めたのがズバリ、「作中のセリフやナレーションなどを全て聴き取って書き取る」ことでした。これなら嫌でも聴解に集中しないといけなくなりますからね。

しかし、これが思った以上にエネルギーを使いました!一瞬気を抜いただけでセリフは流れていってしまうし、何度巻き戻しや一時停止、再生を押したことか。会話のシーンともなると5秒おきくらいに止めて書き書きしないといけないし、もはや「観ている」とは言えないのでは?というシチュエーションにもなってしまいましたが、それでも1話分終わった時はなんとも言えない達成感が味わえて中々良かったです。

そして、これがなぜ「語彙力・単語力」を伸ばすことになるのかについて。

ポイントは、「全て聴き取って書き取る」ところにあります。ただ観ているだけなら細かいところまでは聞かず、大体の意味はわかるからとそのまま流してしまうことが多いかと思いますが、書き取りをするとなるとほんの少しの音の違いにも注意して理解しないと先へ進めない。そうして少しずつ一文が文字になっていくと、その中に知らなかった表現や言葉が浮かび上がってくることがあり、そこでまた一つ、自分の知ってるフランス語の語彙が増えるわけです。

楽しい単語力の伸ばし方その2 フランス語版の漫画を読む!

楽しい単語力の伸ばし方その2 フランス語版の漫画を読む!

耳からのインプットに続いて、「読む」ことで鍛える語彙力・単語力に続きます。

アニメ映像に続くのはもちろん「漫画」!クール・ジャパンの文化が人気になりつつあるフランスでは、コスプレやアニメの元々の原点とも言える漫画の単行本もも実は結構手に入りやすいのです。パリにある大手の本屋さん(※記事ラスト参照)に行って、フランス語の「bande dessinée(英語で言うcomic strip のような短編漫画のこと)」とは別の扱いになっていた「マンガ」の占める棚の多さに驚いたのを今も覚えています。
しかも、一昔前の作品や、一部のコアなファンに愛されてるものとかではなく、かなり有名でメインストリームなシリーズがずらり。「私も知ってる、というか取り寄せて読んでる」作品がそのままフランス語になってる、というびっくり。しかも(これ、ポイント高いです!)、昔の英語版のマンガに時々あった「絵が反転されることお構いなしに、英語の読む方向に合わせて本が開く向きが日本と逆になっている」という事態が一切ない!このこだわりも中々です。

というわけで、買ってみて読んだのですが、せっかくならこれもちょっとした語学学習に生かさないともったいない!ということで、ここでもやりました、単語収集。すぐに意味・英訳・日本語訳が出てこない単語に突き当たったらすぐにメモをして、辞書を引いて調べ、意味や訳をメモした横に書く。ストーリーを知っていても、セリフそのものに注意して使われてる言葉を確認して、それをしながら少しずつ進んでいく。一冊終わると、意外と集まってました。

何冊か読んでみて思ったことですが、漫画を教材にする良い点の一つとして上げられるのが、日常生活の中で使うことがない単語を見つけられるということです。漫画は非日常の世界。ファンタジー要素が多い作品ならなおさら。普段の自分なら絶対しないような会話ややり取りを登場人物たちは当たり前のようにしているわけですが、その中にこそ、普段なら触れることのない単語との出会いがあるのです。
もちろん、「こんな言葉知っていてどうするんだ」と思うこともありますが、豆知識として増えていく分には損はないですし、もしかしたら、専門的な文書を読むことになった時(そんなシチュエーションってくるのでしょうか?)にその知識も生きてくるかもしれないです。単語はたくさん知っておくに越したことはない!語学学習において確実に言えることです。

楽しい単語力の伸ばし方その3 好きな作品のWikipediaを読み込む!

楽しい単語力の伸ばし方その3 好きな作品のWikipediaを読み込む!

これは本や映像を消化していくうちに辿り着いたもう一つのインプットです。
読んだり、観てよく聴いていきながらどんどん新しい単語が増えていくのが楽しくなっていた時、他にも飽きずに読めるものはないだろうかと考えて思いついたのがこれでした。フランス語に訳されるくらいの人気なんだから、ウィキペディアの記事もそれなりに充実しているだろうと思って覗いてみると...やっぱり!

特に読み込みたいと思ったのは「登場人物の紹介」。それなりに文章量があると、「セリフ」にはない、例えばそのキャラクターの背景や人間関係についての説明があったりで、また色んな言葉があってわくわくしました。
自分が好きでよく知ってる作品だから、多少内容がわからなくても不明な単語の意味も文脈から推測もできる(しかも意外と高い確率で当たってる!)のもいいところ。そして、ネットの記事だからできる(個人的に、本に直接書き込みをするのが好きではないから、ですが):印刷してハイライトやメモ書きをしながら気になる単語やフレーズをピックアップしていくことができる、のもプラスです。

流れとしては、記事を印刷してから
1.まず、一人分の紹介文章全部を読み、新しく見る単語や表現にはハイライトをつける
2.次に、ハイライトを付けた言葉を辞書で一つずつ引いていく。この時に「これはこういう意味かな?」というのを予想しながら探していく、というのが大事です。当たった時の嬉しさも、そのまま覚えるきっかけになることも!
3.意味が分かったら、それをハイライトをつけた単語の近くに直接書いていく。スペースが足りなくなるという事態を避けるには、記事を印刷する時、中身をWordにコピーして、Line spacing を通常のSingle ではなく、1.5 や Doubleにして、行間が空くように設定して印刷をするのがポイント。(ちなみに、筆者は英仏辞書を使って、英訳を書きました)
4.終わったら、もう一度頭から読み直し、本当に知らない単語やフレーズはこれで全部なのか、を再確認する。やっぱりまだ知らないのがあった、となった時は頭から繰り返しです
そして、それをまた次のセクションでまたやる。

単純なようですが、これが中々楽しいのです。「本当にもう知らない単語はないだろうね?」「ない?じゃあこれは?」という意識を持ちながら読んでいくのは、「まだ学べることはあるのだ」というモチベーションを保つのにも効果がありましたし、好きな作品について書いてあることを読む、ということだけでも妙に楽しく、ストーリーを思い返しては読み進んでいけるのもウキウキします(単純)。
まあ、時々、コミックスになっていないところまでのネタバレが記事内に書かれていたのを発見してプチショックを受ける、ということもありましたが...そちらに関しては一切責任は負えません。

※写真は某作品のキャラクター紹介より取ったスクリーンショット(2017年11月現在)の一部です。これは普段の生活では見ない単語かな…?初めて見るかな…?と思った単語にアンダーラインを引いてみました。

なぜ「フランス語」の語彙力・単語力なのか?

なぜ「フランス語」の語彙力・単語力なのか?

と、ここまで読んで頂いて皆様が疑問に思っているかもしれないポイントについて補足を追加したいと思います。

・なぜ今回紹介している語彙力・単語力を伸ばす勉強方法は「フランス語」に限定してるような書き方なの?
・これだったら英語や他の言葉の練習にも使えるよね?

なんて思っていらっしゃるかもしれないですが、ごもっともな意見です!

そして、率直な回答としては、「はい、確かに」です。その言語の吹き替え版があるのであれば、そんな外国語の学習にももちろん応用できるのは間違いないと思います。ただ、今回に限り「フランス語」とさせていただいているポイントはズバリ、フランス語版の吹き替えや翻訳の方がより日本語の原作に忠実にできている気がするからです!

これはあくまでも筆者の個人的な感想であり、人によって感じることはもちろん変わってくると思いますが、フランス語でアニメが見れるくらいにまで聴解力が上がっている中で試しに1話見てみた時に、直感的に思ったのは「これ、英語版より好きかも!」でした。
なぜかというと、フランス語を話している登場人物たちのセリフの内容がオリジナルの日本語に近い!喋っていることの中に、日本語を話す彼ら、彼女たちの、自分が知っているキャラクター(性格)がちゃんと現れている!そんな印象を受けたのです。
これは大人になってから気づいたことですが、日本のアニメの英語の吹き替え版は時々、原作とは全然違うものに出来上がっていることがあります。おそらく放送されるであろう英語圏現地の文化、放送コード、視聴者うけすると思われるもの、適切・不適切と判断される基準などの影響によって色々と合わせる必要があるからなのだと思いますが、それにしてもこの変え方は大胆!と思ったことも何回かあります。
だけど、フランス語の吹き替え版はエピソードの流れ、セリフなどはオリジナルとほぼ一緒じゃないか?そう思った時、これは、オリジナルを知っている者として、見ていて心地良いものだということを、また直感的に思ったのです。
映像を教材として使うにしても、見ていて退屈したり苛立ってしまっては何にもなりません!だから、気分良く見れるものにしなければ。個人的には、それが日本の作品のフランス語版であったわけです。

好きなシリーズも二度楽しめます!

好きなシリーズも二度楽しめます!

これはちょっとした新発見だったのですが、何回か見たり読んだりしているうちに、フランス語版の漫画やアニメには日本のオリジナルとはまた別の良さがある!と思えるようにもなりました。そこで、

筆者の思う「外国語版限定の漫画・アニメの楽しみ方」
1.「あれ」をどうやって訳してるんだろう?に注目する
2. 日本語の造語をどうしているのか見てみる
3. 違う名前を持つ登場人物を見守ってみる

まずは1つ目。ありきたりですが、「翻訳・通訳そのもの」を楽しんでみることです。好きな作品ならきっと、あのセリフやあの名前、リズムに合わせないといけない詩や歌詞、言葉遊び、日本の文化を知らないと通じないフレーズなどはどのように訳されているのか、気になりませんか?ある程度その外国語ができていてこその注目点かもしれませんが、原文を知った上で翻訳・通訳版を楽しむなら、せっかくですもの。

2つ目。上記の内容のワンランク上の注目ポイント:現地の言葉が「造語」にどう対応しているかを見てみる。これもまた、ちょっとファンタジーな設定がある作品だとよくあることですが、「その作品の世界観でしか存在しないもの」を外国語で表現する時はどうしているのかというのも興味深いところです。言葉自体はローマ字にして、それが登場する時に説明文を補足としてページの空白などに入れるのか、それとも上手く「現地の言葉バージョン」を造るのか?後者の場合は特に、元々の造語の意味を作品の世界の設定の中でよく理解していないとなせない技なので、上手に訳されていると小さく感動します。なるほど、そう対応できるのか!や、確かに、そういう意味だもんね!という新発見も待っているかも?

そして3つ目。これは日本の皆様にとってはちょっとした衝撃かもしれませんが、実は吹き替え版アニメや外国語訳の漫画では時々登場人物の名前が変わります!事情としては、先ほど触れた通り、おそらく現地の文化に合わせるためでしょう。発音しにくかったり、日本語を知らない者からすると覚えにくい音の並びだったりすると、とっつきにくくものになる恐れがありますからね!筆者がある時期見ていたものでは、主人公以外はみんなフランスの名前をつけられていた、というのがありました。
でも、それに対しては、目くじらは立てず、一度そのまま登場人物たちを見守ってみてはいかがでしょう?何なら、日本語を話すオリジナルの○○とフランス語を話す○○はちょっと違う人物だ、と割り切ってしまってもいいです。原作ではこうだけど、フランス語を話す○○はこういう風に言うのか、と、新たな一面を発見することもあるかも?気づけば、違う名前を持つキャラクターが、日本語のオリジナルとはまた別の感じで可愛く見えてくるかもしれませんよ!

最後に

久しぶりだからなのか、また長くなってしまいました…
僭越ながら「勉強方法」について少し(少しどころかかなり)語ってみましたが、いかがでしたでしょうか。

あえて元々は日本語であるメディアを教材にしてみる、というのはすぐには思いつかないことかもしれないですが、漫画・アニメ好きな方は試してみると面白いと思います。その外国語だけでなく、日本語についての新発見や、作品やキャラクターの新しい一面を見つけ出すきっかけにもなったりして、予想以上に楽しみは広がりますよ!

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このコラムの著者

きえちゃん

日本人でも英国人でもなく、ロンドン人です。
ロンドンで一番好きな場所はサウスバンク。
使える言語の数はきっと永久に「2.5」。 この著者の投稿一覧 >>

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